伊賀牛を食べに三重県まで行った。
いつものSだ。

玄関を入るとフロント?で名前を聞かれる。
そして、奥まで通されて席に着く。
すぐさま注文をするのだが・・・・、
この店にくると、必ず、某女性が私たちの席の係りになる。
この女性は女将ではない。単なる店員だ。
何年も前からここで働いているのだろうけど、
初めて私達に就いたのは、3年ほど前だったと思う。
それ以来、フロントに案内係りが沢山いても、
どこからともなく彼女が現れていつもの別棟に案内してくれる。
そして別棟に行くまでにいろいろと話しかけてくる。
「おひさしぶりですね」から始まって、
「今日は、誕生日かなにか?」とか、
「お花見ですか?」とか、あたりさわりのないことを
聞いてくる程度だが、結構、私達のことを良く覚えている。
この前の服装はどうだったとか、
連れの女性の髪形や毛の色、持っているバッグまで、
気持ち悪いぐらいに覚えている。
そしてて褒めてくれる。
年に1回か2回ぐらいしか行かないのに、
此方が忘れてしまっている前回注文した料理まで
覚えてくれている。
何故なんだろう?
と思う。

今日は、その某女性が居なかった。と思った。
案内係りは、若い男性だったからだ。
別棟の奥の座敷に通された時は、
「えっ、何か私達の資料でもあるの?」と思ったが、
席が違った。
こちらが席を指定している訳でもないのだから、
そんなことは、どうでもよかった。
本館の廊下を通るときに客席を見れば、
客は、まばらにしか居なかったのに、
なぜか別棟のほうに案内されたのが不思議に思えた。
別棟にも席は4つある。
客はいなかったが、「こちらへ」と示された席は、
いつもの席とは違っていた。
中庭に面した席だった。
ひととおり注文を済ませて、男性が立ち去って、
「こちらの席も、なかなかいいねぇ」
「今日は、あの人は休みなのかな?」などと話しをしていると、
「いらっしゃいませ」と、例の女性店員がやってきた。
そして、
「あら、すみませんね。こちらの席でよろしいですか?」と
言うので、「どこでもいいですけど」と答えると、
「こちらに変わられますか?」と聞く。
イエ、ここでいいです。と断ったが、
だいたい、どこでもよさそうなものだと思う。
確かに、いつもの席は、大きな川に面していて、
その手前は行き届いた庭園風の遊歩道になっているから、
眺めは良い。
でも、そんなことは関係ないほど、こちらも眺めは良いではないか。
それに、私達がここに来ていることを何故わかったんだ?
フロントで名前を言ったからか?
メニューを持っていたので、すでに注文したことを伝えると、
「ごゆっくり、どうぞ」と、意外にあっさり立ち去った。
しかし、しばらくして前菜を持ってきたのは、
やはり彼女だった。
そして、前菜の説明をしたあと、
いつもの世間話的なことを話しかけてくる。
こちらも、ある意味、警戒しているから
できるだけ個人的なことは話さないようにしているが、
なかなか感じの良い女性なので、ついつい
にこやかに話してしまう。
話し好きという感じではない。
ポツンと一言二言、声をかけてくれると言う感じなのだが、
その間に、此方の態度や雰囲気などを見ているのかも知れない。
次々と料理を運んでくる度に、親しげに話しかけてくれる。
決して、しゃべり過ぎない程度だが、楽しそうな動きは
見ていて気持ちがいい。
まるで、私達を待ち焦がれていたかのように、
来てくださって、ありがとう。と言ってるかのように、
嬉々として働いているように見える。

私達が食事をしている間に他に2組の客が来て、
そちらにも、腰の低い挨拶を交わしていた。
でも、やっぱり私達の席には特別?丁寧な扱いだった。

もちろん、伊賀肉は、めちゃくちゃ旨かった。
何よこれ?柔らかすぎるぅ!と声に出るくらい
口の中で溶けそうだった。

料理そのものは、いつも美味しいと思うのは、もちろんだが、
帰りに私達が彼女に抱いた一致した感想は、

「仲間に入れて欲しいのと、ちゃうか」

だった。

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