彼女を初めて家に入れた。
それは、女房も子供達も運転手もお手伝いもいない
千載一隅のチャンスの日だった。
私は彼女の家には何度も泊まったりしていたが、
彼女は一度も我が家に入ったことが無かった。
そのチャンスの日は2週間ほど前にわかった。
お手伝いさんが、家庭の事情で来れなくなり、
代わりの人が来るまで2週間以上、間があくことになった。
そして、家族が皆外出して誰もいなくなる日、
家族に内緒で運転手に1日だけ特別休暇を与えた。
彼女に知らせたのは前日だった。
万博公園に薔薇とルピナスを観に行く予定をしていたのを
急遽、家においでと誘った。
彼女は驚いていたが、喜んだ。
その日、彼女はまるで化粧品のセールスレディのような
スーツ姿でやってきた。
彼女なりに気を使ったのだろうけど、
かえって目立つなぁと思った。
門はカギをかけず開けてあったが、
玄関までは道路からは見えるので、
不自然にならない程度に早足で玄関まで
たどり着くように言っておいた。
玄関もカギはかけずにおいた。
彼女が玄関に入ると思わず抱きついた。
しばらく玄関にいたが、あがるように勧めた。
靴をどうしようと聞いたが、そのままでいいと言った。
ひとまずリビングに招いてお茶を出した。
私は、生まれて初めてラブホテルに入った時の気分のようだった。
どうしていいのか、わからなかったが、
彼女は案外落ち着いていた。
彼女は「すべての部屋を見せて」と言った。
私は、彼女の要求にすべて応えた。
彼女は建物の隅から隅まで見て廻ったが、
ほとんど部屋に入ることはしなかった。
ドアをあけて中を覗き込む程度だった。
しかし私の部屋にだけは入ってきた。
「あなたの部屋が一番片付いているわね」と褒めてくれた。
でも、モノが多すぎるわねとも言った。
私もそう思うと言った。
だから、一度キミに見てもらおうと思っていたんだ、と言うと
ほとんど要らないものばかりのような気がすると言う。
「捨てなさい。全部」と笑いながら
「アレも、コレも、それからアレも・・・」と
みんな処分すれば、この部屋がもっとスッキリするよ。と
そして、最後に
「捨てるほど、幸運がやってくるのよ」といつもの決めゼリフ。
なんだか、圧倒されながら、庭に案内した。
そこでも、この木は要らない。この花は処分。と
どんどんダメだし。
とにかく、無駄なものが多すぎるらしい。
私自身も、わかっているのだが、処分できずにいるんだと言うと、
「あなたは、優しいからネ。でも枯れ木にまで水をやる必要は
ないのよ。立派な庭も台無しになってるわ」と一蹴された。
しょげかえっている私の手をとって、もう一度中に入った。
そして彼女は、私を私の寝室まで連れて行った。
それは、女房も子供達も運転手もお手伝いもいない
千載一隅のチャンスの日だった。
私は彼女の家には何度も泊まったりしていたが、
彼女は一度も我が家に入ったことが無かった。
そのチャンスの日は2週間ほど前にわかった。
お手伝いさんが、家庭の事情で来れなくなり、
代わりの人が来るまで2週間以上、間があくことになった。
そして、家族が皆外出して誰もいなくなる日、
家族に内緒で運転手に1日だけ特別休暇を与えた。
彼女に知らせたのは前日だった。
万博公園に薔薇とルピナスを観に行く予定をしていたのを
急遽、家においでと誘った。
彼女は驚いていたが、喜んだ。
その日、彼女はまるで化粧品のセールスレディのような
スーツ姿でやってきた。
彼女なりに気を使ったのだろうけど、
かえって目立つなぁと思った。
門はカギをかけず開けてあったが、
玄関までは道路からは見えるので、
不自然にならない程度に早足で玄関まで
たどり着くように言っておいた。
玄関もカギはかけずにおいた。
彼女が玄関に入ると思わず抱きついた。
しばらく玄関にいたが、あがるように勧めた。
靴をどうしようと聞いたが、そのままでいいと言った。
ひとまずリビングに招いてお茶を出した。
私は、生まれて初めてラブホテルに入った時の気分のようだった。
どうしていいのか、わからなかったが、
彼女は案外落ち着いていた。
彼女は「すべての部屋を見せて」と言った。
私は、彼女の要求にすべて応えた。
彼女は建物の隅から隅まで見て廻ったが、
ほとんど部屋に入ることはしなかった。
ドアをあけて中を覗き込む程度だった。
しかし私の部屋にだけは入ってきた。
「あなたの部屋が一番片付いているわね」と褒めてくれた。
でも、モノが多すぎるわねとも言った。
私もそう思うと言った。
だから、一度キミに見てもらおうと思っていたんだ、と言うと
ほとんど要らないものばかりのような気がすると言う。
「捨てなさい。全部」と笑いながら
「アレも、コレも、それからアレも・・・」と
みんな処分すれば、この部屋がもっとスッキリするよ。と
そして、最後に
「捨てるほど、幸運がやってくるのよ」といつもの決めゼリフ。
なんだか、圧倒されながら、庭に案内した。
そこでも、この木は要らない。この花は処分。と
どんどんダメだし。
とにかく、無駄なものが多すぎるらしい。
私自身も、わかっているのだが、処分できずにいるんだと言うと、
「あなたは、優しいからネ。でも枯れ木にまで水をやる必要は
ないのよ。立派な庭も台無しになってるわ」と一蹴された。
しょげかえっている私の手をとって、もう一度中に入った。
そして彼女は、私を私の寝室まで連れて行った。
京都近代美術館のルノワール+ルノワール展を鑑賞してきた。
画家の父ピエール=オーギュスト・ルノワールと
映画監督の息子ジャン・ルノワールの作品。
ルノワールの絵画はフランスのオルセー美術館他、いろんな
美術館から集められた作品が展示されていた。
小難しい解説抜きで鑑賞できる優しい絵ばかりだが、
イヤホンガイド(500円)を借りてじっくり鑑賞した。
ルノワールを観ていると、気分がほんわかとなる。
ついつい見惚れて、ひとつひとつの絵の前に立ち止まる時間が
長くなって観終わった時には足が棒になって痛くなっていた。
映画監督の息子ジャンの作品は、各作品の特徴的な場面を
2〜3分にまとめたものを、各コーナーで上映していたが、
やはり、父の影響を受けていたのか、優美な感じがした。
大阪の国際美術館には行く時間がなかったので
後日、行くことにする。
画家の父ピエール=オーギュスト・ルノワールと
映画監督の息子ジャン・ルノワールの作品。
ルノワールの絵画はフランスのオルセー美術館他、いろんな
美術館から集められた作品が展示されていた。
小難しい解説抜きで鑑賞できる優しい絵ばかりだが、
イヤホンガイド(500円)を借りてじっくり鑑賞した。
ルノワールを観ていると、気分がほんわかとなる。
ついつい見惚れて、ひとつひとつの絵の前に立ち止まる時間が
長くなって観終わった時には足が棒になって痛くなっていた。
映画監督の息子ジャンの作品は、各作品の特徴的な場面を
2〜3分にまとめたものを、各コーナーで上映していたが、
やはり、父の影響を受けていたのか、優美な感じがした。
大阪の国際美術館には行く時間がなかったので
後日、行くことにする。
月ヶ瀬梅林には行けなかった。(千)
2008年3月24日 兵(千)伊賀牛を食べに三重県まで行った。
いつものSだ。
玄関を入るとフロント?で名前を聞かれる。
そして、奥まで通されて席に着く。
すぐさま注文をするのだが・・・・、
この店にくると、必ず、某女性が私たちの席の係りになる。
この女性は女将ではない。単なる店員だ。
何年も前からここで働いているのだろうけど、
初めて私達に就いたのは、3年ほど前だったと思う。
それ以来、フロントに案内係りが沢山いても、
どこからともなく彼女が現れていつもの別棟に案内してくれる。
そして別棟に行くまでにいろいろと話しかけてくる。
「おひさしぶりですね」から始まって、
「今日は、誕生日かなにか?」とか、
「お花見ですか?」とか、あたりさわりのないことを
聞いてくる程度だが、結構、私達のことを良く覚えている。
この前の服装はどうだったとか、
連れの女性の髪形や毛の色、持っているバッグまで、
気持ち悪いぐらいに覚えている。
そしてて褒めてくれる。
年に1回か2回ぐらいしか行かないのに、
此方が忘れてしまっている前回注文した料理まで
覚えてくれている。
何故なんだろう?
と思う。
今日は、その某女性が居なかった。と思った。
案内係りは、若い男性だったからだ。
別棟の奥の座敷に通された時は、
「えっ、何か私達の資料でもあるの?」と思ったが、
席が違った。
こちらが席を指定している訳でもないのだから、
そんなことは、どうでもよかった。
本館の廊下を通るときに客席を見れば、
客は、まばらにしか居なかったのに、
なぜか別棟のほうに案内されたのが不思議に思えた。
別棟にも席は4つある。
客はいなかったが、「こちらへ」と示された席は、
いつもの席とは違っていた。
中庭に面した席だった。
ひととおり注文を済ませて、男性が立ち去って、
「こちらの席も、なかなかいいねぇ」
「今日は、あの人は休みなのかな?」などと話しをしていると、
「いらっしゃいませ」と、例の女性店員がやってきた。
そして、
「あら、すみませんね。こちらの席でよろしいですか?」と
言うので、「どこでもいいですけど」と答えると、
「こちらに変わられますか?」と聞く。
イエ、ここでいいです。と断ったが、
だいたい、どこでもよさそうなものだと思う。
確かに、いつもの席は、大きな川に面していて、
その手前は行き届いた庭園風の遊歩道になっているから、
眺めは良い。
でも、そんなことは関係ないほど、こちらも眺めは良いではないか。
それに、私達がここに来ていることを何故わかったんだ?
フロントで名前を言ったからか?
メニューを持っていたので、すでに注文したことを伝えると、
「ごゆっくり、どうぞ」と、意外にあっさり立ち去った。
しかし、しばらくして前菜を持ってきたのは、
やはり彼女だった。
そして、前菜の説明をしたあと、
いつもの世間話的なことを話しかけてくる。
こちらも、ある意味、警戒しているから
できるだけ個人的なことは話さないようにしているが、
なかなか感じの良い女性なので、ついつい
にこやかに話してしまう。
話し好きという感じではない。
ポツンと一言二言、声をかけてくれると言う感じなのだが、
その間に、此方の態度や雰囲気などを見ているのかも知れない。
次々と料理を運んでくる度に、親しげに話しかけてくれる。
決して、しゃべり過ぎない程度だが、楽しそうな動きは
見ていて気持ちがいい。
まるで、私達を待ち焦がれていたかのように、
来てくださって、ありがとう。と言ってるかのように、
嬉々として働いているように見える。
私達が食事をしている間に他に2組の客が来て、
そちらにも、腰の低い挨拶を交わしていた。
でも、やっぱり私達の席には特別?丁寧な扱いだった。
もちろん、伊賀肉は、めちゃくちゃ旨かった。
何よこれ?柔らかすぎるぅ!と声に出るくらい
口の中で溶けそうだった。
料理そのものは、いつも美味しいと思うのは、もちろんだが、
帰りに私達が彼女に抱いた一致した感想は、
「仲間に入れて欲しいのと、ちゃうか」
だった。
いつものSだ。
玄関を入るとフロント?で名前を聞かれる。
そして、奥まで通されて席に着く。
すぐさま注文をするのだが・・・・、
この店にくると、必ず、某女性が私たちの席の係りになる。
この女性は女将ではない。単なる店員だ。
何年も前からここで働いているのだろうけど、
初めて私達に就いたのは、3年ほど前だったと思う。
それ以来、フロントに案内係りが沢山いても、
どこからともなく彼女が現れていつもの別棟に案内してくれる。
そして別棟に行くまでにいろいろと話しかけてくる。
「おひさしぶりですね」から始まって、
「今日は、誕生日かなにか?」とか、
「お花見ですか?」とか、あたりさわりのないことを
聞いてくる程度だが、結構、私達のことを良く覚えている。
この前の服装はどうだったとか、
連れの女性の髪形や毛の色、持っているバッグまで、
気持ち悪いぐらいに覚えている。
そしてて褒めてくれる。
年に1回か2回ぐらいしか行かないのに、
此方が忘れてしまっている前回注文した料理まで
覚えてくれている。
何故なんだろう?
と思う。
今日は、その某女性が居なかった。と思った。
案内係りは、若い男性だったからだ。
別棟の奥の座敷に通された時は、
「えっ、何か私達の資料でもあるの?」と思ったが、
席が違った。
こちらが席を指定している訳でもないのだから、
そんなことは、どうでもよかった。
本館の廊下を通るときに客席を見れば、
客は、まばらにしか居なかったのに、
なぜか別棟のほうに案内されたのが不思議に思えた。
別棟にも席は4つある。
客はいなかったが、「こちらへ」と示された席は、
いつもの席とは違っていた。
中庭に面した席だった。
ひととおり注文を済ませて、男性が立ち去って、
「こちらの席も、なかなかいいねぇ」
「今日は、あの人は休みなのかな?」などと話しをしていると、
「いらっしゃいませ」と、例の女性店員がやってきた。
そして、
「あら、すみませんね。こちらの席でよろしいですか?」と
言うので、「どこでもいいですけど」と答えると、
「こちらに変わられますか?」と聞く。
イエ、ここでいいです。と断ったが、
だいたい、どこでもよさそうなものだと思う。
確かに、いつもの席は、大きな川に面していて、
その手前は行き届いた庭園風の遊歩道になっているから、
眺めは良い。
でも、そんなことは関係ないほど、こちらも眺めは良いではないか。
それに、私達がここに来ていることを何故わかったんだ?
フロントで名前を言ったからか?
メニューを持っていたので、すでに注文したことを伝えると、
「ごゆっくり、どうぞ」と、意外にあっさり立ち去った。
しかし、しばらくして前菜を持ってきたのは、
やはり彼女だった。
そして、前菜の説明をしたあと、
いつもの世間話的なことを話しかけてくる。
こちらも、ある意味、警戒しているから
できるだけ個人的なことは話さないようにしているが、
なかなか感じの良い女性なので、ついつい
にこやかに話してしまう。
話し好きという感じではない。
ポツンと一言二言、声をかけてくれると言う感じなのだが、
その間に、此方の態度や雰囲気などを見ているのかも知れない。
次々と料理を運んでくる度に、親しげに話しかけてくれる。
決して、しゃべり過ぎない程度だが、楽しそうな動きは
見ていて気持ちがいい。
まるで、私達を待ち焦がれていたかのように、
来てくださって、ありがとう。と言ってるかのように、
嬉々として働いているように見える。
私達が食事をしている間に他に2組の客が来て、
そちらにも、腰の低い挨拶を交わしていた。
でも、やっぱり私達の席には特別?丁寧な扱いだった。
もちろん、伊賀肉は、めちゃくちゃ旨かった。
何よこれ?柔らかすぎるぅ!と声に出るくらい
口の中で溶けそうだった。
料理そのものは、いつも美味しいと思うのは、もちろんだが、
帰りに私達が彼女に抱いた一致した感想は、
「仲間に入れて欲しいのと、ちゃうか」
だった。