ザブトン

2010年1月30日 日常
久しぶりに聞いた言葉だ。
メーカーや、下請け会社などへの支払いは小切手だったが、
社員の給料日と職人の支払い日の月2回、現金で支払う日があった。
給料日は、私の分も含めて1千万にも満たなかったが、
職人への支払い日は、7千万から9千万近く用意しなければならなかった。
職人への払いは、番頭たちが計算して、支払い明細を出して、
私が当日銀行に電話して持ってこさすことになっていた。
そして、私が明細を信用して直接職人の親方に手渡す。
だいたい、8人ぐらい抱えている親方に5百万から6百万ぐらい支払う。
そんな親方が支払い日に次々と集金にくる。
毎月のことだが念のため、銀行には2日ほど前には用意しておくように
電話で頼んでおいて、当日の朝、時には前日、番頭から受け取った明細を見て、
たとえば、支払い合計が7千3百5十万6千2百円だったとしても、
銀行に8千万持ってくるように言う。、
職人の支払いは、端数は切り下げて万単位で支払うから、小銭はいらない。
すると、7百万円ぐらいは余る。
そのカネは、私のウラガネとなった。
ある月、売上が異常に伸びて、現金の支払いが一億を超えた。
銀行に「一億二千万持ってきてくれ」と電話したら、担当の行員が
大きな紙袋2つ持ってきた。
いつも、紙袋ひとつなので、私は金額を多く言ってしまったのかと思った。
そしたら、行員が、
「ザブトンが入らないので、2袋にわけて持ってきました」と言った。
ふだんから、「レンガ」が1千万の束だと知っていたので、
一億の束を「ざぶとん」と言うのかと、すぐ気がついた。
しかし私は、その時初めて、「ざぶとん」という隠語?を知った。
1千万の束は、百万円の束のような紙の帯ではなくて、
糸目の入った半透明のしっかりした幅の広いテープで
縦横に巻いてあるから手では解けない。
だからいつもハサミでバラしていた。
ザブトンでも、レンガでもどちらでもよかったのだが、
一度ザブトンをバラしてみたいと思ったので、来月は、
風呂敷かなんかで持ってきてくれと頼んだ。
しかし、それ以後、1億を超える支払いは無かったので、
ザブトンには、お目にかかれずじまいになった。


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