2年前、その少年(A君)は中学1年生だった。
A君の家庭環境は劣悪と言ってもいいほどだった。
母親は、2度離婚していてホステスをしていた。
父親はいないが、内夫らしき男性が時々家(マンション)に
やってきていた。
4歳年上の姉は、何度も補導歴があり、家を出ていた。
2歳上の兄は、中学を出て就職もせずブラブラしているうちに、
万引き、窃盗を繰り返し保護観察処分に付され、私が担当した。
兄は、少年にしては目つきは鋭く態度も悪かった。
A君は素直な感じの普通の少年だったが、兄を怖れていた。
A君には年の離れた(幼稚園児の)弟が二人いた。
母親は、子供たちの面倒をみないので、A君が弟たちの世話をしていた。
兄の保護観察のために何度も訪問したが、母親の同席の回数は少なかった。
同席すべき母親もまた兄を怖れていた。
そして、部屋はいつも散らかって汚れていた。
母親は子供たちとの接触が少なく、兄は母親の所在を知ろうともしなかった。
母親の所在や様子は、A君がある程度知らされていた。
それは、母親がA君に弟たちの世話をさせるために必要だったのだろう。
往訪すると、応対に出るのがA君で、兄はいつも散らかったリビングの
机に向かってタバコを吸いながら無愛想に私を睨んで迎えた。
私が机の上を片付け、挨拶をしても返事もしない。
何を聞いても知らんぷり。
たばこを吸うなと言ったら、やっと消す程度。
その間、A君は弟たちを別の部屋につれて行って遊ばしたり、
時には寝かしつけていた。
兄の保護観察は1年で解除された為、それ以後その家族との接触は
なかったが、私はA君のことが気がかりだった。
A君は今年の3月、中学を卒業するはずだ。

・・・・・・・・・・

昨日、保護観察所の主任官から電話があった。
「A君の保護観察を担当してください」と。

心配していたことが起こってしまった。

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